消費者庁が新しく導入した機能性表示食品制度の概要及び変更届を出す際の注意点

サプリ17

健康食品に対して正しい使用を促進する目的で保険食品制度が2001年にスタートしました。2015年には制度が改正され、機能性表示食品制度が開始されました。果たして、機能性表示食品制度とはどのような制度なのでしょうか。

この制度が開始されてから機能性表示食品の市場規模が拡大していますが、その理由について解説します。さらに機能性表⽰⾷品届出の流れや、変更届を提出する際の注意点も取り上げます。

機能性表示食品届け出から受理、表示販売できるまでの期間について

機能性表示食品が誕生した背景

サプリメントとは健康を保つために良いとされる食品全般を指しますが、明確な定義というものがありません。ただ一口に健康食品といっても、色々な商品が流通しているので、消費者からすると本当に健康に良いものか分からないという不安はあります。

そこで国は健康食品に対して正しい使用を促進する目的で保険食品制度をスタートさせました。この制度は2001年から始まったものですが、当初は特定保健用食品と栄養機能食品の2種類しか定義されていませんでした。

特定保健用食品というのは、商品そのものが個別に国の審査を受け許可されたときに名乗ることができます。また、栄養機能食品というのは、含有すべき量が国の規格基準を満たしていれば栄養機能表示することが可能です。

それ以外の食品については、その機能を表示することが叶いませんでした。これまでの制度では機能性を謳うことはできないので、何に対して良い食品なのか分かりづらいという意見が多数寄せられました。そこで2015年に新しく制度が改正されました。

特定保健用食品や栄養機能食品の他に、新たに機能性表示食品という枠組みを作ったのです。

機能性表示食品とはどんなものか

機能性表示食品では、事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示することが可能となりました。事業者の責任において、という部分が、特定保健用食品や栄養機能食品とはやや異なっています。また、該当する商品を販売する前に、あらかじめ安全性及び機能性の根拠に関する情報を消費者庁に届けておく事前届出制を採用しています。

機能性を表示するといっても、事業者が勝手に表示して良いというわけではなく、次に示す3つのルールが定められています。ます、きちんと安全性が確保されている必要があります。安全性の根拠というのは、実際に食した実績や安全性試験を実施などして説明できなければなりません。

次いで、機能性を表示するための科学的な根拠を揃えている必要があります。科学的な根拠とは、臨床試験や研究レビューで証明できるものでなければなりません。さらに、消費者が誤解しないような表示ができていることです。

これは消費者庁が提示するガイドラインに則る必要があります。このルールに従っていなければ、従来通り機能性を表示してはいけない、ということになるのです。

届出数の増加に伴い市場が拡大しました

2015年にスタートした機能性表示食品ですが、2019年4月の段階で届出件数が1,700件を超えています。

ちなみに、2001年からスタートした特定保健用食品の許可件数は1,000件余りです。制度開始から4年で特定保健用食品の許可件数を超えたということは、機能性表示食品を積極的に世に出したいと考えている事業者が多数存在することを示しています。

市場も2015年時点では数百億円規模でしたが、2018年には2000億円規模まで成長を遂げました。何故、これだけの市場規模に成長を遂げているかといえば、機能性表示にかかるコストが他の保険食品よりも少ない点が挙げられます。

例えば、特定保健用食品の場合、表示される効果や安全性について、商品ごとに国が審査を行います。許可が出るまで時間を要し、販売するまでに数年かかるケースも少なくありません。一方、機能性表示食品は最終製品を用いた臨床試験、或いは最終製品または機能性関与成分に関する研究レビューを届け出れば機能性を表示することが可能です。

ちなみに、研究レビューはシステマティックレビューとも呼ばれています。これはある課題について、事前に設定した条件を満たした臨床試験論文を論文データベースなどから網羅的に収集し、その課題に対する科学的根拠を肯定的な結果だけでなく、否定的な結果もすべてあわせて機能性があると認められるどうかを総合的に判断する評価方法のことです。

機能性表⽰⾷品届出の流れ

機能性表⽰⾷品の届出手続きは、消費者庁が運営する機能性表示食品制度届出データベースから行います。手続きを行う前に、まずガイドラインやマニュアルなどを確認する事前準備から始めることが望ましいです。事前準備が完了したら、データベースよりユーザーIDを取得します。

そして、事業者の基本情報を届出てから、対象となる食品の届出を行うのです。もし届出情報に不備があれば、届出情報は公開されず差戻され、再提出が求められます。届出情報に不備がなければ、その情報が公開される仕組みです。

届出情報を変更することができます

ところで、一度届出を提出して公開された情報は変更ができないかといえば決してそうではありません。届出資料を変更するなどの事由が発生すれば、変更届を提出することで公開情報を変更することができます。機能性表⽰⾷品の変更届を提出する場合、新旧対照表を作成する必要があります。

新旧対照表があることによって、どの点が変更しているかが分かりやすくなります。

変更届を出す際の注意点とは

新旧対照表は、公開情報と非公開情報とで分けて作成しなければなりません。そしてそれらを新旧対照表の公開、或いは新旧対照表の非公開に添付します。ここでいう公開情報とは、機能性表示食品の届出データベースに登録されている内容です。

また、たとえ軽微な変更であっても、変更内容を全て記載する必要があります。また、届出データベースには変更履歴の情報を掲載しますが、その部分には変更届を提出した日付や変更内容を記載します。もし変更届に不備があって差し戻しがあった場合、変更履歴と新旧対照表の日付を再提出した日に変更しなければなりません。

このように細かい注意点がありますが、これらをきちんと守ることで、その商品に対する信ぴょう性が高まるのです。

新しい保険食品制度に注目

特定保健用食品や栄養機能食品とは異なる機能性表示食品制度。この制度が誕生したことで、機能性を分かりやすく表示した食品の選択肢が広がりました。事業者の責任において機能性に対する安全性や科学的根拠をしっかり示す必要はありますが、機能性表示にかかるコストが他の保険食品よりも少ないため市場規模が拡大しています。

また、変更届を提出することで公開情報を変更できる点にも注目です。